あなたの仕事はコロナ 危機でどんな影響を受けましたか?世界中で多くの人が職を失ったり時間短縮を余儀なくされています。私は二か月間強制休職させられました。オーストラリア政府から支給されるコロナ特別補助金で生活していました。
でも私の場合は失職後、補助金の支払いがすぐに始まったのでよかったです。満足に補助金を受けられない人もたくさんいるでしょう。日本の場合はたったの10万円、しかも支給までにかなり時間がかかり、急に失業した人への十分なサポートとは言えません。
コロナ危機に関わらず、いきなり職を失うことはめずらしくありません。私は日本の外資系会社で働いていた時、レイオフを二回経験しました。朝いつものように会社に行くと、従業員が会議室に集められ、いきなり整理解雇の発表がありました。次の日から突然収入がなくなります。
このような先の見えない時代に、転職力をつけることでリスクを最小限に抑える方法について考えてみます。
リスクが高い就業環境
世界中で蔓延し続けるコロナウィルスの影響で、これから経済が打撃を受けることは必須です。一人当たりGPが下がり続け、世界が大不況に突入することは、もはや避けられません。私が住んでいるオーストラリアは、世界金融危機の影響もほとんど受けないほど長い間好景気を謳歌していましたが、30年ぶりに不景気に突入すると見られています。
アメリカやヨーロッパの一部ではすでに失業率が二桁を突破しました。日本は実態が失業率に反映しない構造になっていますが、隠れ失業者を含めれば多数にのぼり、今後も増えると予測されています。経済が元の状態に戻るには何年もかかりそうです。
日本の社会は構造的な問題を抱えています。膨れ上がる借金、高齢者社会、少子化政策の遅れ、生産性の低さ、異文化許容度の低さ、性差別、年齢差別、前例を重視する硬直的な社会。これら日本特有の事情は今後の日本の経済の足かせになるでしょう。
そのほかにも、不採算部門の縮小、上司のパワハラやいじめ、会社の経費節減などで退社を余儀なくされたことがあります。どんなに会社の居心地がよくても、いい仲間にめぐまれていても、仕事が楽しくても、収入が突然なくなることはあるのです。またいい会社と思って入社を決めても、実際に内情を見たらこんなはずじゃなかった、というのはよくある話です。
私たちはこれから予測不可能な環境の中で働いて生き抜いていかなければなりません。必要な時にいつでも転職できる準備をしておけば、突然職探しが必要になっても慌てずに済みます。
雇用の危機を乗り切る方法
自分自身の人生プランとキャリアプランを作っておく
日本では終身雇用制が崩れてからしばらく経ちますが、それでもいまだに一つの会社に長く働き続けることを良しとする考え方があります。でも会社と運命を共にする考え方はリスクが大きすぎます。会社とともに沈没しないためには、会社を軸に置いたキャリアから自分の人生を軸においたキャリアにシフトする必要があります。
私は外資系で働くようになってから初めてレイオフされ、会社というのは社員の業績に関係なく解雇するものだと身をもって知りました。そしてその後も、優秀な社員が突然解雇される現場を何度も見てきました。そして真剣に自分のキャリアパスを考えるようになりました。会社は労働契約のもと、労働を提供して給料をもらう場所にすぎません。自分のキャリア開発のために会社をどう利用するか考えましょう。
あなたのライフプランはどのようなものですか?そのプランを実行するためにはどのくらい収入が必要ですか?どの地域や国で暮らしたいですか?そこにはどんな仕事がありますか?あなたが楽しくできる仕事は何ですか?
私は専門家になるためのキャリアが作れ、自由で風通しのいい雰囲気の中、グローバルな仕事をしたかったので外資系を選びました。日本企業ほど女性差別もなく働きやすかったです。そして世間の目を気にせず自由に行動できる個人主義の国に住んでワークライフバランスの取れた生活をしたかったので、海外の会社に転職しました。いくつかの都市で働いた後、以前からあこがれていた世界で一番住みやすいとされるメルボルンに引っ越しました。私にとって仕事は、人生のステージに合わせてやりたいことを実現する道具でもあります。
自分の専門を持つ
いつでも転職できるためには、専門分野を持つことが必須です。そして専門分野をベースにプロフェッショナル職につけば転職しやすいだけでなく、より高い給料も狙えます。 特に外資系や海外では、職種別採用がはっきりしているので、専門がないと転職が難しいです。
私は日本企業に勤めていた時、これといって専門分野がなく、将来に不安を感じました。そこでアメリカの大学院に行き、全く初めての分野である情報システムを学びました。ここで学んだことは私のその後のキャリアの基盤になるものです。今はデータ分析分野の専門家として時代のトレンド、仕事の種類、 住む国の状況に合わせた勉強続け、転職時にはこれからほしいスキルが身に着けられる仕事を選んでいます。
次の仕事をいつも考えておく
あなたは今の会社をなんらかの理由で辞めて、次の仕事に移るときのことを考えていますか?今の仕事がどんなに楽しくても、今の上司や同僚がどんなにいい人たちでも、いつか別れはやってきます。会社がどんなにあなたにいてほしくても、ビジネス環境が変わればどうしようもありません。
今の仕事が調子がよくても、いつも次にどんな仕事をやりたいか、頭の片隅にいれておきましょう。自分の業界にアンテナを立てて、今のトレンドや、企業がどんな人材を求めているのかをリサーチしておきます。 私は仕事を積極的に探していなくても、最近どんな募集があるのかは時々見ています。
そして、自分のキャリアパスに沿った次の仕事の可能性をいくつか考えておきます。日ごろから考えておくと、突然職探しが必要になった時にも慌てずに済みます。
いつでも転職可能にしておく
上司とウマが合わない、職場環境が悪い、給料が上がらない、会社の業績が下がった、レイオフされた・・・。今の職場に別れを告げなければならない時は想定の範囲外でやってきます。
次の仕事のオプションに必要なスキルを今から磨いておきましょう。今の仕事のなかでそれができれば最高です。そうでない場合は仕事外でトレーニングコースを受けたり学校に通ったりします。私の同僚は、今の仕事のスキルアップのため、フルタイムで働きながらオンライン大学の学位を取得中です。
レジュメは普段から内容を最新のものに更新しておきましょう。私は突然転職活動をしなければならないことが何回もありました。その時一番にやることは、それまでの実績を入れたレジュメ作り。これが意外と時間がかかるものなんです。日々の仕事に追われていると、以前やった細い仕事内容は意外と忘れています。私は一つのプロジェクトが終わったら、その概要と自分の実績を記録するようにしています。これは 面接で実績をアピールする時にも役に立ちます。
日頃からエージェントと仲良くしておくのもいい方法です。今仕事を探していなくても、いい関係を作っておけばいざという時に助けになってくれるかもしれません。 業界や採用のトレンド情報を持ってきてくれるのも彼らです。
グローバルマーケットを視野にいれたキャリア開発
自分のやりたい仕事を好ましい条件で得るには、転職マーケットを広げておくほうが有利です。職種や業界にもよりますが、最近は経済成長中のアジアなど、海外に活路を見つける日本人も増えています。またネット上で簡単にビジネスパートナーとつながれる今、たとえ日本で仕事をし続けるにしても、海外でも通用する力をつけておくと競争力が増し、選択肢が広がります。
これからは英語で仕事をするスキルはますます重要になるでしょう。英語圏以外で働く場合にも、事実上英語はビジネスの共通言語なので、できるに越したことはありません。インターネットで音声付きの教材がタダでいくらでも手に入るので、日ごろから実践的なビジネス英語を勉強しておきましょう。
私は外資系企業に転職するようになってから、海外の同僚と仕事をする機会が増えました。ビジネス英語の能力を向上できただけでなく、世界の様々な国の同僚と働いたことによって日本にいては身に着けられない働き方を学び、多文化の理解や許容度も高まりました。このようなグローバル経験は、海外の現地企業に転職するときに大いに役立ちました。
ボーダーレスな転職力をつければ危機を乗り越えられる
私は初めてレイオフされた時、人生は終わりだと思いました。ショックが大きすぎて、悲しいという感情さえなかったです。突然路頭に迷って、明日からどうして生きていくんだろうという不安。そのころ日本ではレイオフというのは聞いたことがなく、そのような体験をした人も周りに誰もいませんでした。強いて言えばアメリカ映画で見たぐらいですね。
それからは自分の意志で会社を去ったことも意志に反して去ったこともありますが、なんとか危機を乗り越えてきました。どんなに経験しても、やっぱり転職は大変なものです。でも自分のキャリアの軸をしっかりと持ち、常に将来何をやりたいのかを考えて日ごろから準備していれば、危機は乗り越えられます。
そして世界のどこでも生きていける力をつけておけば、人生のオプションが広がります。この会社がだめなら別の会社、この職種がだめなら別の職種、日本がだめなら他の国。その時々の状況に合わせて柔軟に動ける準備を今すぐに始めませんか?