海外転職や外資系転職を目指す方にとって、英語での面接は大きなハードルですよね。でも大変なのは母国語ではない言語で自分をアピールすることだけではありません。海外ならではの面接の傾向を理解し、それに対して適切な準備をする必要があります。
海外ではセルフブランディングの手法として、ストーリーを語ることで効果的に自分の価値を伝えることができる「STARメソッド」と「SOARメソッド」がよく使われています。これは面接だけでなく、レジュメ、カバーレター、LinkedInなど、自分をアピールする時のさまざまなシーンで威力を発揮するので、覚えておいて絶対損はありません。私もこの手法を使って多くの転職を乗り切ってきました。
この記事ではこれらの手法について解説し、実際の英語での面接でどのように活用するかをお伝えします。海外でキャリアを積みたい人はぜひ使いこなしてほしい手法です。
面接でなぜストーリーを語る必要があるのか
面接では、さまざまなタイプの質問がされます。なかでもBehavioral Quesionsは、職場で起こり得る様々なシチュエーションで、求職者がどのような行動をとるかを知るために聞かれる質問です。求職者の仕事ぶり、問題解決能力、行動パターン、仕事の実績など、多くのことが一度に理解できる効果的な質問手法です。
これがBehavioral Questionsの例です
Tell me about a time you were under a lot of pressure
Describe a time when you saw a problem and took the initiative to correct it.
Tell me about a time an unexpected problem derailed your planning. How did you recover?
Give me an example of a time when you were able to successfully persuade someone at work to see things your way.
Give an example when you worked with someone you found it difficult to get along with. How did you handle the situation?
こういった質問に答えるときは、具体的なエピソードやストーリーを語ることが重要です。ストーリーを通じて自分の行動や考え方、成果を具体的に伝え、その会社に入社後に働いている姿をイメージしてもらうことによって、面接官に強いインパクトを与えることができます。そして自分の価値をわかりやすくアピールし、他の候補者との差別化を図ることができるのです。
ストーリーを語るために最初に準備するべきこと
面接であなたのストーリーを語るためには、まずどんなストーリーを語るかを決める必要があります。現職や前職でさまざまな仕事をしてきた中で、誰にでも大きな活躍をしたことがいくつかありますよね?あなたのキャリアの中でも特に印象に残るシーン、上司や同僚に褒められたこと、会社に大きな利益をもたらしたこと、自分を褒めてあげたい活躍ぶり・・・
これこそが他の候補者と差別化を図ることができる、あなただけのサクセスストーリーです。そして面接官は、こうしたあなたならではのサクセスストーリーを聞きたがっているのです。
そのときの具体的な状況を思い出して書き留めてみてください。
STARメソッドとは?
STARは、Situation(状況)、Task(任務)、Action(行動)、Result(結果)の頭文字を取っています。このメソッドを使うことで、過去の経験を構造的に説明し、面接官に分かりやすく伝えることができます。
STARメソッドの構成
Situation(状況)
その時の背景や状況を説明します。具体的に「どこで?」「いつ?」「何が起こっていたか?」「誰が関与していたか?」を、他社の人にもわかりやすく伝えます。
Task(任務)
その状況で自分が果たした役割や任務を述べます
Action(行動)
その状況と任務に対して具体的にどのような行動を取ったかを説明します
Result(結果)
その行動の結果として何が達成されたか、具体的な成果を述べます。特に海外や外資系企業では仕事の結果が大変重視されるので、具体的にビジネスにもたらした好影響を語ることが重要です。
STARメソッドによる面接の回答例
これはプロジェクトマネジメントの経験についての回答例です。
Situation: In my previous role as a project manager at XYZ Company, we were tasked with developing a new project management software that would streamline our internal processes.
Task: My responsibility was to lead the project from conception to launch within a six-month timeframe while ensuring all stakeholders were satisfied with the final product.
Action: I began by assembling a cross-functional team of developers, designers, and QA specialists. I conducted regular meetings to ensure everyone was aligned with our goals and timelines. To manage the project’s progress, I implemented Agile methodologies and used tools like JIRA to track tasks and milestones. Additionally, I maintained open communication with stakeholders to manage expectations and gather continuous feedback.
Result: The project was completed two weeks ahead of schedule, and the new software improved our process efficiency by 30%. The positive feedback from the team and stakeholders led to the adoption of the software across other departments within the company.
SOARメソッドとは?
SOARは、Situation(状況)、Obstacle(障害)、Action(行動)、Result(結果)の頭文字を取っています。これはSTARに似ていて、違う点はTask(任務)がObstacle(障害)に置き換わっていること。このメソッドを使うことで、困難なことにどう取り組んで結果を出したかを強調することができます。
SOARメソッドの構成
Situation(状況)
その時の背景や状況を説明します。具体的に「どこで?」「いつ?」「何が起こっていたか?」「誰が関与していたか?」を、他社の人にもわかりやすく伝えます。
Obstacle(障害)
その状況で直面した困難や取り除かなければならなかった障害について説明します。
Action(行動)
その状況と任務に対して具体的にどのような行動を取ったかを説明します
Result(結果)
その行動の結果として何が達成されたか、具体的な成果を述べます。特に海外や外資系企業では仕事の結果が大変重視されるので、具体的にビジネスにもたらした好影響を語ることが重要です。
SOARメソッドによる面接の回答例
たとえばプロジェクトマネジメントの経験についてSOARメソッドを使って説明する場合、以下のように述べることができます。
Situation: While managing a project to upgrade our company’s IT infrastructure, we faced a critical issue with vendor delays that threatened our project timeline.
Obstacle: The primary obstacle was the vendor’s inability to deliver essential hardware on time, which was crucial for the next phase of our upgrade.
Action: To address this, I immediately scheduled a meeting with the vendor to discuss the delays and explore potential solutions. I also developed a contingency plan that involved sourcing temporary hardware from an alternative supplier to keep the project moving. Furthermore, I communicated these changes and their potential impacts to all stakeholders to manage expectations and ensure transparency.
Result: By proactively managing the situation and implementing the contingency plan, we were able to continue with the project without significant delays. Ultimately, the infrastructure upgrade was completed on schedule, resulting in a 25% increase in system performance and reliability. The stakeholders appreciated my problem-solving approach and adaptability, reinforcing their trust in my project management capabilities.
英語面接での活用方法
STARメソッドは長い間面接のテクニックとして幅広く使われてきましたが、最近はSOARメソッドも多く使われるようになっています。特に困難を克服して与えられた任務をまっとうしたこと強調したい場合はSOARメソッドの方が効果的です。そのストーリーの内容や面接官が求めていることに応じて使い分けるといいでしょう。
私自身両方使って就職活動をしてきて、個人的にはSOARの方が使いやすく効果が高いと感じています。どんな仕事にも困難はつきものです。どんな障害や困難があったか、それをどのように乗り越えて成功したのかを伝える方がドラマチックなストーリーになり、面接官にポジティブな印象を与えやすいと思います。
日本人のあなたは、このようにストーリーを語り、最後にビジネスに与えた具体的な影響を強調するというのは、自分一人の功績をおおげさに自慢しているように聞こえておこがましいと感じるかもしれません。しかし海外の面接の場ではあなたが主役であり、面接官はあなた個人の功績を聞きたがっています。仕事の役割がはっきりしている成果主義の海外就職では、日本でちょっとずうずうしいぐらいでちょうどいいのです。遠慮しないで堂々と成果を主張しましょう。
あなただけのストーリーを作ろう
STARメソッドとSOARメソッドは、海外や外資系企業の面接対策において非常に効果の高いツールです。これらのメソッドを活用することで、ストーリーを使って自分の仕事ぶりや強みを伝え、面接官にポジティブな印象を与え、他の応募者を出し抜くことことができます。
面接の準備では、あなたの輝かしいサクセスストーリーをSTARやSOARの構成でまとめておきましょう。質問の内容に応じて臨機応変に使えば、一つのストーリーをいろいろな質問の回答に使うことができます。
事前に準備をしっかりと行い、面接ではきかれた質問に応じて適切なストーリーを選んで回答すれば、自信に満ちた自己アピールをすることができ、海外転職を成功させることができるでしょう。