外資系企業や海外の企業向けに英文履歴書(レジュメ)や職務経歴書を書くとき、職務内容だけではなく、仕事上の実績を具体的に書くのが大切というのはみんな知ってることですよね。でも、これっていざ書こうとすると難しいと思いませんか?
私も最初のころは、職務内容と実績の違いをよく理解していなくて、この二つをなんとなくごちゃまぜにして書いていました。でも転職を数多く経験し、数えきれないほどのエージェントにレジュメを見せながら話してきたことで、採用者側から見て実績の記述はどのように映るのか、どのようにアピールすればいいのかがわかってきました。
実績は、あなたが会社にどう貢献できるかをアピールする強力な情報になり、就職活動の勝敗を分ける武器になるので、レジュメを書く時には特に力を入れるべきところです。具体的にどのように実績を書けば光るレジュメになるのかをお伝えします。
英文履歴書の職務内容と実績の違い
「職務内容」はジョブディスクリプションの内容を確認するもの
職務内容は、英文レジュメではResponsibilities や Dutiesというタイトルで書かれます。そのポジションの人がやると決められた仕事内容のことです。これを見れば、その人がその会社でどんな責任を負っていたのかが分かります。毎日会社でやる決まった仕事を考えればわかりやすいでしょう。同じ会社で同じポジションなら、内容は似たものになるはずです 。
「海外向けの英文履歴書に書くべきことと書かなくてもいいこと」にも書いたように、採用者にとってレジュメは、ジョブディスクリプションに書いてある条件にマッチしているかを確認するツールです。 だから応募者がやるべきことは、ジョブディスクリプションをしっかり読みこみ、自分の過去の職歴がジョブディスクリプションと合っていることを証明することです。
「実績」はあなたが会社にどう貢献できるかをアピールする武器
これに対して実績や業績は、英文レジュメでは Achievements や Accomplishments というタイトルで書かれます。これは職務内容を遂行した結果どうなったか、つまり仕事の結果や達成度を書くものです。
ここではあなたが仕事をした結果、会社にどのような利益をもたらしたか、ビジネスにどんなインパクトを与えたかをアピールします。具体的にストーリーを書くようにすると、読んでいる人が仕事ぶりをイメージしやすくなります。
職務内容と違い、自分の業績は自分だけのものですから、自分の個性が出せるところです。実績は他の候補者と差別化することをたやすくし、面接する前から他の候補者より抜きん出ることが可能なのです。
英文履歴書の実績を書くときのネタ
ビジネスへのインパクトを書く
ビジネスの目的は売上を上げ、コストを削減し、利益を得ることです。会社は会社に利益をもたらしてくれる人を探しているので、あなたが仕事で達成したことが、どのようにビジネスに好ましい影響を与えたかを書くのが、あなたをアピールする一番の方法です。
売上向上に直接貢献できるのは営業職ですが、それ以外にもコスト削減、時間短縮、プロセス改善、業務の効率化、顧客満足度向上など、ビジネスの業績向上に貢献できることはたくさんあります。自分の日々の仕事が、会社のビジネスという全体レベルで見たときにどうインパクトを与えたのかを考えてみてください。
数字を使う
自分の仕事ぶりをまったく知らない人に伝えるとき、数字を使って書いたほうが格段にイメージしやすくなります。営業職だったら、予算に対してどのくらい売り上げを達成したかを書くのは簡単ですよね。でも営業職でない場合はどうしたらいいのでしょうか。
営業職でなくても自分の実績を数字で表すことはできます。例えばIT職だったら、導入したシステムによって業務時間をどれくらい削減できたのか、 ITコストをどれくらい削減できたのか、 何人のユーザーやクライアントにインパクトを与えたのか、何人規模のプロジェクトだったのか、 どれくらいの時間をかけてそれを成しとげたのか、などです。
どんなネタが使えるのか
「そうは言っても、自分はビジネスに影響を与えるような大きな仕事なんてしていないよ」と思うかもしれません。日々の仕事に追われていると、ビジネスを大きな視点で考える余裕はなかなかありません。でも考えてみると意外とネタはたくさんあるはずです。
日常的な仕事以外にやった特別なプロジェクトはありませんか?自分の責任範囲を超えて仕事をしたことはありますか?小さなことでも自ら進んで提案し行動を起こしたことはありませんか? こうした経験を伝えることができれば、次の仕事でも積極的に行動を起こしてくれる人とみなされます。
これまでのキャリアの中で、他人に自慢できるプロジェクトの成功談はありませんか? 上司や同僚に褒められたことはありますか?チームの中であなたが特に際立って期待以上の仕事をしたことはありますか?自分の仕事の範囲内で、新しいプロセスを導入したことはありますか?
私はプロジェクトで中心的な役割を担ったとき、全社で初めての試みをしたとき、自分から率先して新しいことを立ち上げたときの成功体験などを書いています。
これらの経験をもとに、自分の仕事が会社のコスト削減や業績向上にどのように貢献したかを考えてみてください。個人の仕事を会社全体の利益に結びつけて表現できるかどうかが勝負どころです。日本人は控えめですが、英語でレジュメを書く人は、特別なことでなくても、キラキラ輝くものすごい業績のように書いていますよ。
英文履歴書に実績をどう入れるか
レジュメに書く実績が決まったところで、次はそれをレジュメの書式の中にどう組み込んでいくかです。
まずは職歴欄に各ポジション(会社)の職務内容を書くとき、実績も含めて書く方法です。ポジションごとにどんな仕事をして、どんなふうに活躍したのかがわかりやすくなります。
次は、経歴欄に職務内容とは別に実績欄を設ける方法です。各ポジションごとにResponsibilities / Duties の欄とAchievement / Accomplishment の欄を別々に作ります。このやり方だと、その人の際立った部分を知りたい採用担当者は、真っ先に実績欄に目を走らせるでしょう。1日何百枚もレジュメを見る採用担当者に、一番重要なところだけ注目してもらうために効果的な方法です。私のジョブマーケットでは、一つのポジションに何百通ものレジュメが届くことがわかっているので、このやり方でレジメを作っています。
最後に、実績をまとめてレジュメの最初の方の目立つところに書く方法です。これは特に強調したい実績があるときにいい方法です。他の応募者よりもひときわ際立った実績があるときや、ジョブディスクリプションと非常に適合性の高い実績があるときは、遠慮せずに一番先に書いて、目にとまりやすくしましょう。
実績をレジュメに入れる方法はいろいろありますが、経験年数、職種、実績の内容などによって、最適な方法を選ぶといいと思います。
「実績」を大いに活用して海外の面接を勝ち取ろう
レジュメに書く実績は、他の候補者を出し抜いて、自分が優れていることをアピールする絶好の機会です。特に海外では、他人と同じことを書いていては競争に勝つことはできません。 自分だけしか持っていない貴重な経験を堂々とアピールしましょう。
個性的で魅力的な実績を書けば、採用者にもっと話を訊いてみたいと思わせることができます。面接に呼ばれた時、面接官にそのことについてもっと詳しく話すよう求められるかもしれません。 そうすればしめたものです。面接ではレジュメに書いた実績を掘り下げて、思う存分面接官に語りましょう。